はじめに
習慣は、人が日常生活を送るのに欠かせないものだ。食事の作法、決まった時間の睡眠、着替え、入浴といった、基本的な生活習慣が身についていないと、日常生活に多くの支障が出る。また、挨拶する、後かたづけをする、所属する場所の生活ルールを守るなどの社会的な習慣を身につけていないと、周囲の人とトラブルになる。
人は、習慣が身についていることで、生活の特定の場面で余計な判断や思考なしに、その場に適した行動を自動的に、かつ無駄な動作なしに実行できる。また、社会的な習慣が身についていることで、人と円滑にコミュニケーションをとることができる。
これらの習慣の多くは、子供時代に家庭や学校でしつけられるものだ。ほぼ強制的に、親や先生の指示で決まった動作を繰り返すうちに、習慣として身についたものだ。この習慣形成の過程は、気持ちと切り離して、とにかく同じ行動を身につくまで繰り返すことに尽きる。親や先生の強制力に素直に従って行動する子供時代だからこそ、習慣がしっかり根付くとも言える。
一方で、大人になってからの習慣形成は難しい。大人が取り組む習慣化の多くは、ある種の依存症に基づく悪習慣や、成長過程で身についた悪い癖を改め、正しい生活態度を習慣づけることが目的となる。
例えば、喫煙や過度の飲酒など、健康に悪影響が出る習慣をやめることなどが挙げられる。テレビや雑誌でそれらの悪影響が盛んに語られるので、悪習慣をやめることのメリットは誰でも頭では理解できる。しかし、一度身につけた悪習慣を簡単には止められない。
もしも今、あなたがどうしても直したい生活習慣を持っているなら、このサイトはきっと役に立つはずだ。本サイトは、大人が取り組む習慣化の特徴、習慣づけるためのコツ、大人になってから行う習慣形成の意義について、以下の目次に従って示してゆく。
目次(各ページへのリンク)
- 1.大人が取り組む習慣化
- ・社会的な習慣と私的な習慣
- ・私的な習慣化の難しさ
- 2.習慣化に役立つ2つの道具
- ・依存症
- ・恐怖症
- 3.習慣化への依存症の利用
- ・事例1)挨拶の習慣づけ
- ・事例2)早起きの習慣づけ
- 4.習慣化への恐怖症の利用
- ・事例1)禁煙の成功
- ・事例2)ラーメン依存症からの脱却
- 5.事例から見える習慣化のコツ
- ・依存症利用のコツ
- ・恐怖症利用のコツ
- 6.習慣化の2つの意義
- ・心身の安定化
- ・他人への理解力の向上
- 7.習慣の危険性
- ・事例1)自動と手動の勘違い
- ・事例2)ドアの開閉方向に混乱
- ・事例3)習慣が起こす恐ろしい事故
- 8.習慣化で身につく大人の態度
- ・落ち着きこそ大人の証
- ・あとがき